大友祥碁

tomoshou.com

つなぐ、花火。

オンラインで一緒に見られる花火をテーマに制作したインタラクティブ作品。 参加者は特設サイトを経由して、YouTubeやZoomを利用して星空を見ることができ、参加者の持つスマートフォンを利用してLINEから花火を打ち上げることができます。 こうして打ち上げられた花火はタイムスタンプと共に蓄積し、一定の間隔で何度も花火が上がります。

316発の花火が上がる壮観な光景と飽きることのないサウンド

最終的に、作品上には316発の花火が打ち上げられ、様々な方法で楽しんで頂きました。 SNSで知り、出先で楽しまれる方から、Zoom飲み会のお供に花火を眺めて一緒に上げていただいた方など、想像以上に様々なシチュエーションが生まれました。 この作品のサウンドは天の川や夜空をイメージし、テレビやPCなどでゆっくり楽しんでいただく事が想定して制作しました。

node-REDを活用した初作品

「つなぐ、花火。」のバックエンド仕組み

本作品からバックエンドサーバを構築してデータを効率的に活用しています。 従来までの作品はフロントエンド(映像、サウンド、インタラクション制作)が主であり、Twitterなどをデータベースの代用として活用する事で、作品制作を行ってきました。 よって作品内にデータが蓄積されず、通過していました。 今回は、LINE APIやTouchdesignerの接続、SQLデータベース運用の為、通信サーバとデータベースサーバをクラウドやVPS上に設置。取得したデータを随時DBに保存し、それを毎秒取り出す事で再現性ある作品としました。 具体的にLINE-APIからIBMクラウドのサーバへ、IBMクラウドからさくらVPSへ文字情報を送り、送られた文字を分別してIBMクラウドとDBに保存、最終的にIBMクラウドからローカルのTouchdesignerにWebSocket経由で数値を送信しています。 Touchdesignerでは受け取った情報を元に花火の打ち上げ、サウンドの再生などを行なっています。 こうしたバックエンドの取り回しが可能になった背景に「Node-RED」との出会いがありました。 これはMAX/MSPやTouchdesignerのようにノードを接続することであらゆるWebサービスやIoTを接続できるツールであり、サーバにインストールすることで利用できます。 Node-REDを活用することで、今までバックエンドの知識が別途必要だったことが、フロントエンドエンジニアやデザイナー、それこそメディアアーティストでも少ない学習コストで利用することができ、今回の作品はそのプロトタイプとしても制作しました。

「つなぐ、花火。」は技術的にできることの幅がバックエンドサイドまで広がった最初の作品

Node-REDの操作画面(さくら VPS側)

つなぐ、花火。を制作するにあたり、Node-REDを2週間ほどずっと触っていました。プログラミングツールなのでできることを列挙するとキリがありませんが、例えばAPIに接続して得た情報を元に整理したデータを渡したり、Web上のインタラクションとの連動、Raspberry Piにインストールして、センサーデータの収集・DBアップロードなど、バックエンドエンジニアと組まなければできないような事を簡単に実現することができます。 私が目標としているインタラクション作品の制作にはWebは不可欠だった為、私の抱えていた大きな課題が解決しました。これから更に、距離を超えたユニークで社会的意義を持ったインタラクション作品・案件を実施することができるでしょう。

作品の活用について

プロジェクターや大型ディスプレイに投影し、商業施設等での利用も可能

本作品は、オンラインのインタラクティブ作品として実施しましたが、プロジェクターで投影してリアル空間での実施も十分想定されると考えています。 配信特有のレイテンシーが発生せず、よりリアルタイムにその場の人々とノンバーバル(非言語コミュニケーション)で繋がることのできる今回のようなインタラクティブ作品は、パンデミックが収束に向かうにつれて求められ、そして私自身も作っていきたいと考えています。 大友は在学中に様々なクリエイティブに挑戦していきましたが、今後はよりメディアアート作品制作に傾倒していきながら、様々な物や事、人がつながる未来に向けて、作品を通じて発信し続けていきたいと考えています。